市民の医療ネットワークさいたまの歩み

 『市民の医療ネットワークさいたま』は、「埼玉県には良い医者はいない。良い医者は東京だ」と言われていたほど地元の医療情報が少ない社会状況の中で、1991年4月、5人のメンバーで、身近なところに「信頼できるお医者さん」を探す運動に取り組むことになりました。

 その取り組みは、「より良い地域医療を実現するためのアンケート」の配布からはじまりました。友人や知人、他の市民グループへの依頼、そして各グループが開催する勉強会や集会での配布などでアンケートを広げていきました。 そして、1991年12月、23人のお医者さんを掲載した『市民が推せんする信頼できるお医者さん』第1集ができあがりました。


1992年1月12日、『市民の医療ネットワークさいたま』の発足総会が開かれました。当時「大宮の健康と医療を考える会」のメンバーで『ふれあいの医療ガイド』を書かれた堀越栄子さん(現・日本女子大教授)の「患者と医者の信頼関係をつくるにはどうしたらいいのか?」の講演をうけ、「誰もが安心してかかれる地域の医療づくり」をめざして、医療問題に取り組む数少ない市民団体のひとつとして『市民の医療ネットワークさいたま』が正式に発足しました。


 1月22日、朝日新聞夕刊に、「名医リスト手作り」「人気投票と医師側困惑」の見出しで、『市民が推せんする信頼できるお医者さん』第1集が取り上げられ、問い合わせ先の電話は朝から夜中まで鳴りっぱなしの状態で、想像しなかった大反響となりました。
 『市民が推せんする信頼できるお医者さん』第1集が大変不充分な内容だったにもかかわらず、『市民の医療ネットワークさいたま』の取り組みの意義を高く評価していただき、117名の方が会員になってくれました。


 しかし、個人情報保護法によって、記名式のアンケートが全く集まらなくなり、更新できなくなりましたが、またアンケートが寄せられる社会情勢となり、この度、多くの皆様のご協力をいただいて、第9集をホームページ上に作ることができました。
 『市民の医療ネットワークさいたま』は、このほかにも自分の使った薬を記録する『私の薬歴ノート』を他に先駆けて発行。また『新埼玉県民のための医療と福祉のネットワークガイド』を発行し、医療情報を共有する市民のネットワークを広げる取り組みも進めてきました


 「医療情報の共有」を1つの柱とすると、第2の柱はリストに載ったお医者さんをゲストに招いた『お医者さんと話す会』を中心にした患者と医者のコミュニケーションをはかる取り組みです。


 『お医者さんと話す会』は、1992年4月の「こんな患者は困ります=最も効果的な医者のかかり方を聞く」(川口市マエノ医院・前納宏章先生)を皮切りに30回開催しました。


 さらに医療スタッフなどをゲストに呼んでの勉強会「市民のための自主医療講座」は「薬正しく使ってますか」(所沢市・薬剤師十時典子さん、92・11)、を皮切りに開催してきました。



この他に、市民、医療関係者、行政、専門家によるパネルディスカッション

『医療サミットさいたま95』(95・9)

  どうする高齢化時代の地域医療ーそのあるべき姿と問題点を考える

・   上家和子 埼玉県医療整備課長
・ 阿部恒保 浦和医師会副会長
・ 加藤泰一 大宮日赤副院長・石毛英子飯田女子短大教授

『医療サミットさいたま97』(97・1) →リンクはこちらです

    どうするこれからの在宅医療ー「往診制度」が必要だと思いませんか

・   宮山徳司 埼玉県高齢者福祉課長補佐
・ 湯沢 俊 大宮医師会理事
・ 太田秀樹 小山城北クリニック院長
・ 古橋洋子 臨床看護学研究所主任研究員

『医療サミットさいたま98』(98・7)

    納得づくの尊厳死ー山崎章郎先生・ホスピスを語る

・   山崎章郎 聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長、ホスピスケア研究所所長

『医療サミットさいたま2000』(2000・1)

  あなたが「ガン」と言われたら
     ー近藤 誠先生、ガンに対する心得・治療法と選択肢を語る

『医療サミットさいたま2002』(2002・1) →リンクはこちらです。

  知っておこう埼玉の救急医療の実際ーその問題点と改善方向

・   今 明秀 川口市立医療センター救命救急センター副部長
・ 日下部伸三 
大宮指扇病院副院長
・ 中村隆雄 越谷市消防職員協議会副会長
・ 山崎博 大宮医師会副会長

『医療サミットさいたま2004』(2004・1)

  埼玉の高齢者の福祉と医療の課題とこれから

       ・   高橋五江 淑徳大学教授・埼玉在宅福祉研究会代表
     ・   斉藤正身 霞ヶ関南病院院長
     ・   西村美智代 埼玉痴呆性高齢者グループホーム協議会会長
     ・   新津ふみ子 NOP法人メイアイヘルオウユー代表


 
また、2001年4月から10月まで6ヶ月かけて、市民ボランティアによる「埼玉の救急医療大探検」に取り組み、県内約239の救急告示医療機関に対するアンケート調査を行い、150病院を訪問することによって(残り89は手紙と電話で依頼)113病院から回答を得る取り組みを行い、その結果を「埼玉の救急医療に対する市民からの提言」として8項目の改善提案を、土屋知事と山崎医師会会長宛に提出ました。

 2012年8月には、がんになっても、最後まで住み慣れた我が家で暮らし続けられる地域の在宅医療と小規模施設によるサポートシステムを作るための、「私達のグランドデザイン」を発行し、がんになった時に在宅で暮らすための基本について提起しました。


 この「私達のグランドデザイン」にもとづいて、2014年3月に「埼玉県南 がんと向き合う患者と家族のための がんの治療&在宅ケアマップ」を発行、さらに2015年1月に「さいたま市 がんと向き合う患者と家族のための がんの治療&在宅ケアマップ」を発行してきました。

  提言内容はこちらです

なお、行政とは関わりでは、谷中代表が市民の立場から「埼玉県医療対策協議会」に参加しており、医療制度に関わる課題について積極的に発言していくようにしています。

 
また、埼玉県の「とことん会議」に上田共同代表が参加し、さいたま市と川口市と「闘病記500冊」の展示で、協力・協働をしてきました

市民の医療ネットワークの基本的な考え方と活動で得たもの
 

市民自らの手で情報を集める(アンケートや訪問調査)

市民主催で医療(福祉)に関する様々な勉強を行い、正確な知識を身につける

市民がイニシアティブをとって、医療関係者や行政とも話し合いを行う

そういう活動をしていくと、自ずと医療(福祉)のシステム上の問題点や欠陥などが明らかになる

そうした問題点や欠陥を直すには、個人の力では不可能であり、個々の市民団体の力でも、なかなか難しいのが現実

そのため、多くのNPOや市民グループ、また専門的な知識や力をもっている個人をバックアップメンバーとして組織し
て、福祉や医療に関わる情報を調べ、確かめ、知らせる機能を果たす

私達のテーマである自分や家族の「命と健康を守る」ためには、普段から医療(福祉)に関して正確な情報と知識を持
っていることが不可欠

そのためには、個人的な情報収集と勉強が基本ですが、それにプラスして『このまちで暮らす会』などの市民団体にい
つでもアクセスできるようにしておく

同時に自分が実際に体験した医療(福祉)に関する経験・情報を、こうした団体にフィードバックする